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| 6.プロデューサーとしての達郎 最近は、奥さんの音楽をタイ・アップなどで宣伝して重きを置いているようで、達郎 ファンとしては少し残念である。 女優:竹内まりや、監督:山下達郎という文字通りの夫婦二人三脚の映画を何本も 撮っているにもかかわらず、自身の作品は後回しになりがちな最近の音楽活動には、 閉口したくもなる。 7.ア・カペラと達郎 ドュー・ワップ。この音楽ジャンルは、黒人音楽を起源とするゴスベルから発し、 1950〜60年代のアメリカで隆盛を極めた。特に楽器が必要でないことから、経済的に 貧困な層でもできるために、黒人を中心にストリート音楽として発展していったと言 われている。この時代の音楽を達郎は“ロックンロール”と呼ぶ。 「ドュー・ワップ」=「ア・カペラ」というのが日本での一般的な認識であるが、こ れを広めたのが、この人まさしく山下達郎であると言える。とりもなおさず、アカペ ラは4,5人のコーラス編成で行われるのであるが、この人の場合は低音から高音の パート(テナー、バリトン、ベース)すべてを自分で歌い、それを多重録音して作品 に仕上げるという地道な作業である。 しかし、作り出されたあのハーモニーは、正に“プロフェッショナル”としか表現で きない。 声の調子は日ごとに変わるので、1曲のオケはその日のうちに録音して完成させる、 というのも生真面目で、職人と言われる所以。 8.新曲、そしてこれからの日本 8月19日に久々の新曲“僕らの夏の夢”がリリースされた。 映画の主題歌ということもあって、非常に抽象的な歌詞ではあるが、21世紀を担う次 の世代へのメッセージ・ソングである。 最近の荒廃した社会、無気力でハングリー精神に欠けた若い世代、こんな時代にした のは大人たちの責任であり、その代償を若い世代に払わせることほど不条理なことは ない。 普遍的なもの、変わらないもの、価値が永遠であるもの、これこそが達郎の音楽の根 底に流れるPhilosophy(哲学)である。 “未来”は自らが作り出すもの、他の誰かが決めるものではない。歴史は自然の流れ であり、誰もその流れやトレンドに逆らうことはできないかもしれない、ちっぽけな 個人にはそれは不可抗力かもしれないから。 しかし、少しながらのかすかな抵抗もちりも積もれば山となる、それが市民権を得て 大きく革命的な変化を起こして未来を変えることだってできる。 そんな憤りを少しほのめかしながら、若い世代が今後の日本に夢と希望を持てるよう に、そして“夏”がなんらかのミラクル(奇跡)を起こすかもしれない、と達郎は訴 える。 “夏”は64年前の日本が味わった遥かな昔の屈辱を呼び起す季節でもある。その苦い 経験が年月とともに風化することを、誰もが危惧する。 これを教訓として、日本はどこの国よりも平和を願うが(日本は平和ボケとしている と言われても否めないが)、今日も世界のどこかで、テロや地雷などで貴重な生命が 失われる悲しい事実がある。 そしてTUBEとは全く異なった視点で、夏に“夢と希望”を託しながら、達郎は今日も 歌う。 完 |
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