2.70年代、そして“Ride On Time”

♪青い 水平線を 今駆け抜けてく。。。

80年のヒットシングル“Ride On Time”のイントロの部分。ピアノとバスドラだけのイントロから始まるが、音のきらめきと躍動感が生み出すグルーブが見事に受けて一気にブレイク!

青い水平線に輝く未来を見たのか? 燃えたぎるエネルギーとこの情熱的な愛を君に届けよう、そしてこの“時間”という上昇気流に乗って僕の未来も回り始めて!
歌詞は文字通り、自身の華麗なる80年代の音楽キャリアを予言するかのようである。
28年も前の曲であるが、今聞いても全く古さを感じさせないところがスゴイ! 本人曰く、そして彼の音楽哲学がうかがえる、“時の試練”に耐えうるこのスタンダードな輝き。
28年の歳月が、その頑なな達郎の音楽哲学を如実に証明している。
このブレイクを例えると、99.99999℃の液体状態の水が、0.000001℃に相当するエネルギーを一瞬にして吸収し100℃に到達して沸騰し、一 気に水蒸気に変貌した状態変化であったと思われる。つまり、既にブレイクするための条件が整っていたわけで、わずかなエネルギーでブレイクしやすい環境下 にあり、決して奇跡的な出来事ではなかったということである。これは、のちに世に送り出される達郎の作品群が物語っている。
そしてこの曲のタイトルが語るが如く、達郎の曲は80年代の時流に乗ることとなる。
 
達郎の音楽キャリアは、今となっては伝説的バンド“シュガー・ベイブ”での75年のデビューから始まる。当時の評価は高かったものの、あえなく解散。
76年にソロデビュー、LAやNYでレコーディングしてアルバムを制作。当時は既にCM音楽作家としては名をはせてはいたが、“歌謡曲 ”が日本の音楽の表舞台を飾っていた時代であったため、達郎のようなウエストコースト風のポップスは決してメジャーな存在ではなかった。達郎 の音楽は、玄人受けはするもののヒットには結びつかず。
先見の眼が鋭くあまりに時代の先を読みすぎていたのか、それとも自分が理想とする音楽を追求しすぎて一般大衆がそれについてこれなかったか、詳細は不明で あるが、時代のトレンドとの隔世に自身が悩んだ形跡をブレイク前の音楽から悟ることはできない。しかし、前述したように、ブレイクするべくしてブレイクす る環境を自ら作り、80年の“Ride On Time”のヒットににつながったのであろう。
こうして、達郎は“栄光の80年代”に突入していく。
 
続く

<EZ>