
今年のTUBEは“冬仕様”。 夏バンド“TUBE”が今年は夏にはシングル・アルバムを一切出さずに、12月に冬の曲を目一杯詰め込んだアルバムをリリースし た。アルバムは“TUBEの音楽”の要素のうちの優しさの面を強調し、寒い冬でも心温まる時間が送れることに配慮した大人の音 楽、まさに文字通りのTUBEからの“Winter Letter”である。 アルバムリリースからライブまでの時間が短く、少々予習不足ではあるものの、それなりに万全を期してライブへ臨んだ。12月28日(金)。世間では仕事納めとなる年末の冬の日、天候は一日中雨で冷え込みはなかった。 森本レオ氏のナレーションで始まったライブ、この人の声はどうしてこんなに厳かで人の心を落ち着かせ、安らぎと癒しを与えることができるのであろうか。積 水ハウスのCMにも魅了されるが、おもわず安らぎのある家に帰りたくなる。幕が上がって、TUBEメンバー+キーボード、パーカッション、サックス、コー ラスの8人編成のバンドが登場。 アリーナの15列目だったので、ステージの様子がよくわかる。ギターを弾く手元までは見えないが、ドラムを叩くタイミングがはっきりわかる。野外では味わえない良さ。 ライブ1曲目はアルバム2曲目の”ナデシコ“。のっけから前田さんの声量に圧倒される。バラードでは、アップテンポの曲に対し3倍ぐらいの迫力がある。歌のうまさが引き立つ。 3曲目の「Surfin' In The Snow」。そういえば冬のこの曲があったんだ。これまで一回も生で聞いたことがないため、実に新鮮。3曲連続演奏のあと、「ようこそ!」と前田さんが代 表して観衆に対してあいさつ。いつもとは違った“聞かせるライブ”の始まり。そして、「皆さんを、いつもと違った冬の世界へと招 待します!」とアルバムから3曲、「愛のセオリー」、「星空のラブレター」、「テ・ガ・ミ」を披露。 今回は立ったままではあるが手拍子不要でじっくりと聞かせる曲が多く、上着を脱いでいたため寒くなってきた。いつもなら始まって5曲目ぐらいで汗びっしょりになるが。 前田氏曰く、これまでの音楽活動がなければ決して書くことが出来なかった曲があると。 それが新曲“ホタル”。夏のライブでも披露してくれた“ホタル”は'98のシングル“きっ とどこかで”の流れを汲む雰囲気である。聞いているうちに歌の世界に一気に引き込まれてしまい、体中が熱くなるぐらいの感動を覚えた。詩はほ とんど記憶に残っていないが、夏とともに終わろうとしている“恋”を短い生命の“ホタル”にかけたよう な情熱的な歌だったように思う。 そして、この流れで9月のサーファーを歌う「茅ヶ崎PipeLine」。TUBEの晩夏の曲は結構あるが、一度、晩夏特集なんていうのもライブではやってみてはいいのでは。 今回のアルバムは、前田氏以外に松本氏と角野氏が詩を書いた曲が1曲ずつある。ライブに行くまでそれまでチェックしていなかったため、ここで初めて気づかされる。それぞれ「君に届いたら・・・」と「クリスマスローズ」である。 特に前者について。じれったくて伸ばしに伸ばしてどこまで行ったら告白の場面に出くわすのか、非常に告白までの流れが長い。歌の大サビに至っても告白にたどりつかず、もじもじ松本君のバラード、と長い紹介の後、熱唱。 ギターソロ→大サビ→ラストサビ→ギターソロという、ラストのサビのあともギターソロが豪華に演奏されるこの曲の展開。サービス満点の曲構成に感謝。 “大サビ”。涙なしでは語れない大サビ付のTUBEのバラード。これらに何度、涙を流したことだろう。 「君となら」、「君へのバラード」、「プロポーズ」、「Melody( 君のために)」、「今日からずっと」。 最近なぜか涙腺がゆるくなってしまったが、これらの曲を聞くたびに、頬をゆっくり伝っていく涙を気まずそうにぬぐう自分がいた。 ![]() 「方舟」。これはどこかで聞いたことがある懐かしいメロディーだ、これは何だ?と思ったら、わかった!! '04リリースの大好きなアルバム「夏景色」に収録されている「月の雫」だ! 何かが喉につっかえていたのが取れた感触。なんとなくせつなくて、ギターソロも「月の雫」と同様に涙を誘う。 あらためて言う必要もなくTUBEの冬の曲はバラードが多いです、それぞれのバラードを書いていたとき、例えば「十年先のラブストーリー」なんか書いたと きには恋をしていました、と前田さん。いやいや前田さん、聞いているこちら側も、それぞれの曲を聞いていた頃は恋をしていましたよ。歌詞とそのシーンがダ ブります。 この曲は、バラードの中でも特に詩がいい、せつなくて素敵なきらめきがある。 “夕暮れに染まるシーサイド 誓った約束は グラスの氷みたいに溶けては消えた恋” “海沿いのカーブ過ぎたら出会いのマリーナ 口づけは潮風のしょっぱい味がした” あの当時は“千年先まで”なんておおげさな詩を書いたけど、若かりし頃はとっても純粋な気持ちだったんだよ、となつかしそうに回想していた。 2007年を象徴する言葉は“偽(いつわり)”。今に始まったことではないが、あまりにも悪行の横行の露見が目立った一年であっ たので、「来年は“幸(しあわせ)”という言葉で象徴される一年にしたいねえ」というコメント。 これを前置きにして、'03のアルバム“OASIS”から「誰のせいでもない」を演奏。 アルバム曲以外で今回のライブの目玉はなんと言っても、「僕達はどこへ」。スケールのデカさとメッセージ性の強さに関して、これまでのTUBEの曲の中では群を抜いたナンバーだと個人的に思っている。 これは12年前に作られた曲であるが、まさに今の日本、いや世界が直面している問題を予言しているものではないか。我々人類はいったいどこに向かっているのか。その終点は幸福なのかそれとも人類の破滅なのか? 便利になった世の中ではあるが、情報が氾濫し技術が必要以上に発展を遂げて、科学や技術の進歩が本当に人類に幸福をもたらしているとは決して思えない。世 界的規模の問題では地球温暖化に始まり、民族紛争、貧富の格差拡大など平和というには程遠いほどの問題が山積みにもかかわらず解決策はなく、事態はさらに 悪化しているものもある。これらに対してどうアクションすべきなのか、僕たちはどこへ向かえばいいのか。自問自答したところで答えは見つからないのである が。。。 怒涛のようなギターソロと、ラストサビのところのダイナミックなドラムの連打を目の当たりにすることができて、感激、感無量!! アンコールは、アルバムの1曲目「冬のプレゼント」。 今回のアルバムのコンセプトは、大切な人へのメッセージを伝えてほしい、今回TUBEからファンのみんなにメッセージとしてこのアルバムを届けましたと。 今年の冬は違うよね。マジで嫌いな冬の訪れ 冷めた銀の世界、でもチョット今年の冬はいつもと違うんですよ、みたいな。 アルバムのコンセプトがこの1曲に込められている。クリスマス、カウントダウン、なによりも君のBirthday。うーん、確かに冬はイベントが多いですねえ。 冬の寒さから愛のぬくもりを感じることが出来る、二人の距離を縮めさせてくれる。 このアルバムの1曲目を聞いた段階で、アルバム「Winter Letter」は“買い”であると悟ったTUBEファンも多いはず。 これまでの冬の曲は、夏の終わりから引きずって冬に持ち越す恋や愛を歌ったものが多かったが、今回のアルバムのナンバーたちは完全に冬に固執している曲たち。このことから、TUBEのメンバーのニューアルバムに対する思い入れが伝わってくるではないか。 またこんなぬくもりを感じ取ることが出来るあったかい冬のアルバムをリリースして欲しい、今年だけとは言わずに。 さて、今回のライブ、ファンはどのように感じたのであろうか。 ライブの予習でアルバムを聞く→ライブでアルバムの曲を生で聞く(ここで初めて、CDで聞いたアルバムの曲が実体を帯びて、いきいきと目の前に 現われる、まるで草木が春になって息吹を出すように。)→ライブの思い出を胸にアルバムの曲を復習。このサイクルを繰り返すことで、初めてアル バムをひとつ消化したという満足感を味わうことができるというものだ。 夏のアップテンポでノリノリの曲もいいが、個人的には夏の終わりを歌うバラードもTUBEの魅力の一つと思っている。さらに季節が変わって真っ白な冬の世 界を今回、惜しげもなくTUBEの音楽の引き出しの一つとして見せつけてくれた冬のアルバム“Winter Letter”。やはり、傑作としか言いようがない。 冬は寒いので人との距離をつめてお互い暖めあい、いたわりあうことができる季節。バンドとして、さらに奥行きが広がったような印象を受ける。そして、40 代の大人のバンドとして、1ステップ飛び越えたような気がする、“あー夏休み”をリリースしたときとは違った意味で。 たった1枚のアルバムでこんなにも充実感と幸福感を味わえるなんて、やはり音楽との付き合いは一生ものだ。 今回のライブの思い出を“大切なひととき”として心に抱き、そしてこのニューアルバムを“大切な1枚”にしたい、今日からずっと、いやこれからもずっと。。。 <セットリスト>
1. ナデシコ
2. 哀愁ドライブ 3. Surfin' In The Snow MC 4. 愛のセオリー 5. 星空のラブレター 6. テ・ガ・ミ MC 7. ホタル 8. 茅ヶ崎Pipe Line 9. シャララ MC 10. 君に届いたら 11. 追伸 12. 償い 13. 方舟 MC 14. 誰のせいでもない 15. いつかの僕よ 16. この胸のRainbow MC 17. 僕達はどこへ アンコール 18. 冬のプレゼント
19. クリスマスローズ MC 20. 遠い日の君の姿 以上 |
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