(4)失恋路線
 ヒットシングル「悲しみがとまらない」から、その後のシングルは「気ままにReflection」、「16BEAT」、「モーニング・スコール」、「Happy Endでふられたい」、「Surf & Tears」と失恋路線が続く。
 デビュー曲の「オリビアを聴きながら」も失恋の曲であるから、杏里は失恋の曲が多いというイメージがある。が、一昔前の結婚式の定番となった88年リ リースの「Summer Candle」でやっとHappyな女性を歌うことが出来た、と当時本人は語っていた。これが、93年リリースの「ドルフィン・リング」につながってい く。
 ちなみに、「My Favorite Songs」という88年に初期のベストが発売されたが、それだけでカラオケの杏里メドレーができるような強力なナンバーが揃っている。
 

(5)ジャケット
 レコードジャケットは本人が写っているものがほとんど(いや、すべてか?)。
ファッション雑誌の表紙を飾るにも値する端正な顔立ちと長身がゆえに、本人がジャケットに写っている方が見栄えがしてCDの売り上げも良くなる、というレコード会社の思惑であろうか? 85年には、ジーンズのベストドレッサー賞にも選ばれたくらいである。
 しかし、化粧のパターンによって別人のように写っているものもあり、本当に女性というのは化粧栄えによって華麗に七変化できる。個人的には、83年のアルバム「Bi・Ki・Ki」が最もカッコいい。別に、杏里がビキニを着ているジャケットではないのであしからず(笑)。
 しかし、来年はデビュー30周年というのに、いっこうに老ける様子はなくいつまでも若くてスリムで綺麗。こんな風に年をとっていけたら、と考える世の中の女性も多いことであろう。

 

(6)魅了
 杏里の魅力は、やはり、アカ抜けた洗練された声。透き通るようで弾力があってキュートで張りのある声。大人の女性としての色気も感じる。杏里の声を的確 に表現するのは難しいが、夏にうまく浸透する声質である。彼女の声がオケにのると、夏ソングに必須の独特のビートとGroove、これが埋め込まれる。 TUBEと同じく、サウンドから海が見える。夏の紫外線でほてった体に、涼しい風を運んでクールダウンしてくれる。
 

(7)まとめ
87年7月のシングル「Surf & Tears」。
サビの最後の部分、「夏を忘れないオトナでいたい・・・」。何と素敵なフレーズであろうか。"あの夏に戻りたい、あの夏を忘れない"。
 
 永遠ではなく、必ず終わりが来る“夏”。しかし、地球が公転しているかぎり、必ず一年に一回やってくる季節“夏 ”。今、こうして過去のアルバムを振り返ってみると、先に述べたようにリリースされた時代を象徴している。そして、夏に憧れた“ 過去の自分”がそこにはいる。
 水平線をバックに繰り広げられた真夏のLove Storyを夏ソングは秘かに知っている。それが、はかなく散ったか、ハッピーエンドで終わったかは。。。
 夏が来るたびに思い出す、頭の中で無数の記憶の断片が鮮明にどこからともなくダイヤモンドの結晶の如くキラキラと晶出し、さらにそれらが夏ソングによって組み立てられ、映像化・具現化する。
 幾度となく思い焦がれた夏への慕情もさることながら、これらをうまく1つの“かたちあるもの”としてシンセサイズしていくブラックボックスのような不思議な力を夏ソングは持っている。
 特に、日本のように短い夏には夏ソングは欠かせない。いわば、これは日本人の心の底に本能的にもつはかりしれない“夏への欲求 ”なのかもしれない。だから、夏の曲は売れる。これは過去20年前に既に確立されたレコード会社のビジネスモデルの一つかもしれない。
 
 地球温暖化で全世界が騒いでいるが、ビールの売れ行きと同様、音楽ビジネスも温暖化による恩恵を受けていると言えよう。夏とクリスマスの曲は典型的に売 れるようになっており、これは日本人が基本的に季節の変化に非常に敏感であることを裏付けている。その揺れる気持ちの谷間をぬって、世間では夏ソングが ヒットチャートを震撼させる。
 夏を歌うミュージシアンを商品の対象として捉えることには閉口するが、杏里やTUBEが歌う夏ソングは季節独特の風物詩であることと、インフラが整備さ れ都会の生活に慣れてしまった現代人の自然(太陽や海)への回帰をインスパイアさせる役目を持つ、と言えるかもしれない。
めぐりくる“夏”への感謝の想いを込めて、最後に例のごとく、杏里ベスト・セレクションをまとめて終わりにしたい。
 
 

A面 (Sea side)
1.Windy Summer (ユ83アルバム「TIMELLY!!」)
2.Good-bye Boogie Dance (ユ83アルバム「Bi・Ki・Ni」)
3.Boogie Woogie Mainland (ユ88アルバム「Boogie Woogie Mainland」)
4.気ままにReflection(‘84シングル)
5.Surf & Tears(‘87シングル)
6.二番目のaffair(‘82アルバム「Heaven Beach」)
7.Surprise of Summer(‘84アルバム「Coool」)
 
B面(Ballad side)
1.夏の月(‘98シングル)
2.You Are Not Alone(‘83アルバム「TIMELLY!!」)
3.Over the Wave〜波をこえて〜(’03ベスト・セルフカバーアルバム「R134 Ocean Delights」)
4.Love Letters(‘90アルバム「Mind Crusinユ」)
5.I canユt ever change your love for me(‘84アルバム「Coool」)
6.ラスト・ラブ(‘91シングル)
7.Summer Candles(‘88シングル)
 
以上



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