
| ・曲目コメント 個人的に最も好きな曲は、もちろん”Yes-Yes-Yes”。 ♪振り返らないで 今 君は素敵だよ Woo 僕の行くところへ あなたを連れて行くよ 手を離さないで。。。 なぜ、”僕”はここを去り、”あなた”を遠いところへ一緒に連れて行かねばならなかったのか? 無事に”僕”は”あなた”を連れ出し、二人の愛を成就させることができたのであろうか。「木綿のハンカチーフ」のような結末にはならなかったことを祈るばかりである。 70年代後半にヒットしていた青春ドラマの1ページのようなロマンティックなこの歌詞、そして極限を感じさせない究極の高音のハーモニー。この曲の虜に なった女性は数知れないであろう。小田氏の声のキーの高さは周知のことであるが、この曲はラストのサビで転調し、さらにキーがアップする。もう、これは小 田氏しか歌えない”聖域”である。 ”Yes-No”。 ”君を抱いていいの 好きになっていいの” "Yes-Yes-Yes"へのイントロダクションのような、いかにも70年代という甘酸っぱい青春ソング。現在のように携帯電話もメールもなく、言葉で ダイレクトに愛を伝えるしか手立てがなかった時代。それゆえに、恋に落ちた若者達は、ストレートに自分の気持ちを伝える”純粋さ ”で勝負していたのか?! ”愛を止めないで”。 やはり、”愛”がテーマ。”愛”は目に見えないものなので絵に描いて表現できないが、音では表現できる。とにかく、オフコースは、”愛”をテーマにした曲が多い。 ”眠れぬ夜”。 あーダメだ、このせつない旋律には涙が自然と頬を伝っていく・・・。オフコースがまだデュオの時代、75年のヒット曲。 70年代はなぜか、この手の胸キュンメロディをタイムリーに聞いていた記憶が残っており、この「眠れぬ夜」と「木綿のハンカチーフ」、そしてハイファイ セットの「冷たい雨」(作曲:荒井由実、ユーミンのこと)は私の好きな70年代ソングである。偶然にも全て75年にリリースされている。 しかし、この曲では、忘れかけていた愛がよみがえる、と歌っており、思い出すほどの恋なら、なぜに二人は別れなければならなかったのであろうか・・・。 シンプルに想像するに、愛に縛られて動けなくなる、だから自分から愛を捨てた、しかし一方的に捨てられた相手の気持ちを想うと自己嫌悪に陥り、眠れない夜に苦しんだ。こんなストーリーだろうか? ”さよなら”。 誰もが知っているオフコースの代表曲である。秋から冬への季節の変わり目、そんな中での別れのシーンを嘆き悲しむかのように、外はもう白い雪が降りつつある。。。 二人の恋はピリオドを打つが、美しいコーラスがその余韻を。 いつのまにか、雨が雪に変わって。。。悲しみは雪のように。雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう・・・。 ”雪”と”別れ”は、歌に取り上げられることが多い格好の対照物である。 現在の小田氏のステージで歌われたときでも、涙を流す女性が後を絶たない。 ”君が、嘘を、ついた”。 小田氏が「東京ラブストーリー」の主題歌の担当を番組制作スタッフから依頼されたときに、”君が、嘘を、ついた”のような曲を書いてほしいとのリクエストがあった、と何かの雑誌で読んだことがある。 ”ラブストーリーは突然に”と十分勝負できるほどのキャッチーなメロディーであるが、男が潜在的にもつ”めめしさ”の表現のうまさという点では、こちらに軍配が上がるのかもしれない。 ”緑の日々”。 人間として安心して幸せに生きるための術として、世の中には生命保険というものが存在する。 生命保険のCMに使用されたかどうか記憶が疑わしいが、その後の一連の生命保険CM曲シリーズの走りではないだろうか。働く職場、愛すべき家族。人間らし く幸福に生きるためにはベストパートナーが人間には必要である。”君となら生きていける・・・ 君の為に僕が生きていく”、この サビの歌詞こそがすべてを物語っているのではないだろうか。 ”もっと近くに”。 アップテンポで、オフコースらしからぬノリのいい曲。前向きな歌詞とメロディ。ストレートな愛の伝え方。恋が愛への変わる瞬間とその発展、恋愛の現在進行形。 ♪2つの体と心が重なる やがて静かに動き始める この腕の中に君がいる。。。 ”君住む街まで”。 オフコースの音楽のこれまでの発展の過程の中で、メンバーが体験した挫折と苦悩の日々が、この歌には込められているような気がする。 と同時に、オフコースのファンへの最後のメッセージソングのように聞こえるのは私だけではないだろう。ツアーで全国を駆け巡り、♪君住む街までとんでいくよ ひとりと思わないで いつでも。。。 この曲とともに、約20年間のオフコースの活動にピリオドが打たれる。 うーん、聞き方によっては、TUBEの”夏よありがとう”のようにも聞こえてしまう。。。 ・まとめ 1988年にオフコースは解散。この年は”昭和”という年号の最後の年。オフコースの解散とともに、”昭和”というひとつの時代が終わった。。。 小田氏の音楽は、その後新しい幕をあけ、世代を超えて親しまれるものへと発展することとなる。 さらに、個人的に、今の小田和正氏の曲が最も好きであるというのは、自分としては非常に嬉しい。 これまで、”80年代音楽”、というテーマで書いてきた。これはとりもなおさず、”昔はよかった”、 ”古き良き時代”を振り返ることを目的としていたシリーズではあるが、この人に限っては現在が最も旬であると思う。還暦を迎える にもかかわらず、このパワーは同じ人間とは思えない。 人間が生きていくうえで、3つの次元、”過去”、”現在”、”未来”をうまく コントロールしていくことは重要である。オフコースの曲は”過去”に偏りすぎていたために、どうしても”せつない ”、”めめしい”というイメージが濃かったと思う。小田ソロになって、”現在”そして ”未来”への比重が高くなり、世代を超えて受け入れられることになったと言えよう。 今の小田ファンの中には、オフコースをタイムリーに聞いていない若い世代も多い。しかし、私自身は30代を半ば過ぎ、この伝説的バンドの華麗なる一時代の 片鱗を少しは知っていることに誇りを持つべきなのかもしれない。自分でレコードを借りて音楽にのめりこんだ高校時代、既にオフコースの存在は知っていた。 しかし、それからの歳月、いろいろな人の音楽を聞いてきたにもかかわらず、オフコース、そして小田ソロの良さを完璧に理解するのに20年近くもかかってし まった。。。それはなぜか?自分自身に問いかけたときに出てきた答えは、音楽はそれを聞く自分の生活環境や人間関係で味わってきた精神的側面の形成に密接 に関わっており、また人の痛みや感情を理解できなければそれを歌おうとしているミュージシアンの心などわかるはずもない、ということであった。つまり、自 分が、夏だ海だ恋愛だ、と言っているうちは、そんな実利的・表面的なことをはるかに超越したオフコースの曲を理解しようなど100年早い、ということを認 識したのであった。 オフコースそして小田ソロの”愛の曲”は、時代のトレンドに流されることのない、”普遍”の愛の曲である。 構造物や電子機器は、気温の寒暖・湿度、あるいは外部的圧力によって、脆くも劣化してしまう。これが製造物の運命である。 しかし、音楽はちがう。時間の経過とともに劣化や風化したりするものではない。これはオフコースの曲が身をもって、我々に示している。 音楽はハード的なものではなく、目に見えない媒体ではあるものの、聞く人々の心に永遠に刻み込まれていくものである。 しかも、それは、聞く人達の感性や表情・思い出などにより、さらに発展・成長していくものである。作った本人は、コンサートでの観客の反応で、そのことを最も感じ取っているのではないだろうか。 普遍の愛の歌を世に送ってきた”オフコースの音楽”を後世へ伝えるのは、我々30代でも担える役目なのかもしれない。 以上 <EZ>
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