
| とにかく暑〜い。 地球温暖化が急速に進んでいることを実感する、今日この頃である。 ヒートアイランド現象が顕著な都会では、蒸し風呂にいるような熱気の中、過酷な暑さと戦うビジネスマンが今日も自転車で駆けずり回っている姿を目にする。 こんな暑い日本を離れ、南へ行こう! そうだ、夜空にサザン・クロスの見える南半球がいい。関空から空路8時間のエールフランスで、天国に近い島、ニュー・ カレドニアへ。 本島以外にも離島がたくさんあり、その一つで10年前に訪れた”海の宝石”と呼ばれる、イル・デ・パンに宿を予 約。英語が通じないから、電子辞書を頼りにつたないフランス語だが予約成功!! ニュー・カレドニア本島からセスナに乗ると、窓からはエメラルドグリーンの海が一望できる。 約30分で到着。迎えのバスに乗り、ホテルへ。 ホテル付属のプールサイドにデッキチェアを構え、今年のTUBEのアルバムを iPodで聞く。なんと贅沢な時間か。冷えたビールを片手に、この夏のひとときに一人で乾杯。 そして、アルバムのタイトルは「B☆B☆Q」。 日常では情報があふれかえり、きちんと音楽を聞かない(聞けない)人が多くなったと思う。だからこそ、この”海と太陽と空”を独 り占めできる離島にて、TUBEを心ゆくまで聞けるこの時間を確保できる僕は、なんと幸福な奴なんだろう。” TUBE”と”ビール”と”海”があれば、ここ で命絶たれてもいい! 1曲目がアルバムタイトル曲。 恋と誘惑の季節、夏だ、ビーチだ、BBQ。 渋いカッティングギターで始まり、スパイシーなナンバー。E.Pianoとパーカッションの音がサウンドに透明感を加えて、Good。 灼熱の夏の暑い海岸でのBBQは、夏の定番。まずはビールで喉をクールダウンし、炭火で焼かれた肉のにおいで、条件反射的に口の中で唾液がにじみ出る。コ ンロからの放射熱で、周囲の気温が3℃ぐらい上がり、暑さに拍車をかける。 夜は夜で、月の光を浴びて非日常的な世界の中でムードは完璧なので、ここで告白。 さて、結果は? 2曲目「サンキュー」。 本アルバムの中で、最も個人的に気に入っている曲。 曲のパターンが、サビ→Aメロ→サビ→ギターソロ→Bメロと、「Season In The Sun」によく似ていて、私の好きなパターン。 「サンキュー」≒「Season In The Sun」≒「Kona Windに吹かれて」とも言えよう。 右のスピーカーから、ギターの音がシャカシャカ聞こえてくるのは、「Season In The Sun (TUBEst Version)」を意識したのか。 ”サンキュー”とは、友達に対してであるが、”夏”という季節に対す る想いとも取れよう。 かけがいの夏のひとときに、心から”サンキュー”と言いたい。 3曲目「チェリー」。 ギターのイントロから始まる甘いメロディ。 1曲目のスパイシーさとは対照的に、甘酸っぱい香りがする。1回聞いただけで覚えてしまうこの優しいメロディ。 夕日に照らされた海からの反射光を瞳に受け、たそがれどきの海岸をさまよう・・・。 チェリー、青空がどこまでも続くこの海岸で、もう一度二人きりで踊ってくれないか・・・。 4曲目「彼女は夏のデザート」。 こちらは柑橘系。ここまでラテンメロディーに100%染まった曲は初めてではないか。サビではいきなり、抜けるような太陽の光がさしてきたような音の広が りは、まるで「晴れてタムレ」。 ギターソロがまたまた、ここ南国に来た僕の心を盛り上げる。暑さの中につかの間のクールダウンのギターソロ。 突然、ハイビスカスを頭に飾った美女がカクテルを持ってきてくれた。頼んでもいないのに、と思うと、プールの逆サイドにいるスペイン系フランス女性の驕り だと言う。カシスの香りがするこのカクテル、遠慮なくいただきまーす。 5曲目「みんなガンバレ」。 定番の応援歌であるが、TUBEファンの2世代目がそろそろ小学生になってきているので、その世代にも合わせたようなこのうた。アコギでさらさらした感じ で、「傷だらけのHero」や「Miracle Game」のようなHeavyさはない。 3・3・7拍子のリズムは、ライブでの手拍子、遅れないようにしましょう。 6曲目「ひだまり」。 「Once In A Blue Moon」の再来かと思わせる、バラード。これは間違いなく、今年の野外ライブの”噴水”候補だな。 Aメロはピアノ主体で、Bメロからドラムとベースが加担して盛り上げていくTUBEバラードの王道パターン。 ギターソロの後の一呼吸、これが噴水発射のタイミングであるが、この曲にはこれがない。ライブでは、わざと一呼吸おくのか、あるいは「Once In A Blue Moon」と同じく、噴水の曲にはなり得ないのか?! プールサイドにラジオが置いてあるのに気がついた。何気なくラジオの音に耳をすませると、なんと、日本から何千マイルも離れたこの” 世界の果て”でサザンの特集をやっているではないか。 「さよならベイビー」、「真夏の果実」、「逢いたくなった時に君はここにいない」、「湘南September」と夏の終わりをせつなく歌うナンバーが続 く。そして、ラストにブラン・ニュー・シングル。 タイトルは「Dirty Old Man 〜さらば夏よ〜」。軽快なダンスチューンでありながら、ストリングスがせつなくも美しいメロディは、忘却の彼方へと流れてしまった” あの夏の記憶”の中にある”自分”を呼び戻そうとしている中年男を唄ったものである。 ”あの夏の少年”と同じく、過去の夏へのノスタルジー。”夏”は過ぎ 去った瞬間が一番美しい季節であるが、通過してからも人々に名残惜しく思ってもらえる唯一の季節でもある。記憶の中で巡り巡る夏の日々・・・。 ホテルを出て砂浜に向かう。徒歩3分で透き通るような海。波はそれほど強くない。 8曲目「波のバカヤロー」、9曲目「波乗りグッとチョイス」と”波もの”が続く。 8曲目は、陸派の僕が、女性の気を引くためにサーファーを装うが、付け焼刃に猫に小判で全く効果なし。そんな奴が波に向かって叫ぶ。 9曲目は、昨年のアルバム収録曲「Surfin' ロックンロール」と同じく、中年サーファーを歌う。 10曲目「Your Home Town」。 11曲目「Bad Beach Quest」。 ゆけゆけゆけっ。 ”川口浩”探検隊のごとく、最高のビーチを探せ!と、今晩テントを張る”最高の秘密のビー チ”を探すゲリラ部隊のような野郎どもって、まるで10年前のTUBEチームのこと。 おとなしい曲が多かった中、ここで初めて、攻撃的な夏男を歌う。このアルバムのジャケットのサーファーのイメージにぴったりである。ライブではこれに絡め て、何かありそうな予感が・・・。 また、久しぶりに聞いたTUBEのRhythm &Blues風ナンバーだ。 ロック色が強いせいからか、ギター、ベース、ピアノの音がそれぞれお互いをかき消さずにはっきり聞こえる。 12曲目「みんなのうみ」。 ♪うみはひろいなおおきいな。 誰もが幼い頃、口ずさんでいた童謡「みんなのうみ」。これをTUBE流にアレンジし直して、発表されたシングル。 '04の”夏祭り”、同じく'04の”光と影”、'05の”Seaside Vibration”を聞いたときには”あっ”と驚いた。 これらは、前例のない音楽ジャンル(それぞれ、ボサノバ、沖縄、ラップ)であったが、本作は”童謡”をテーマと しており、衝撃を受けたひとも多いかと。 ロック、AOR、ラテン、歌謡、GS、モータウン、レゲエ、R&B、ハワイアン、サーフィンホットロッドなど、TUBEの音楽は幅広い ジャンルに亘っているが、これらに対してさらに新ジャンルを開拓するという試みには、本当にファンとしてはうれしい限りである。 これまでにない新たな発想と新たなことへの果敢な挑戦は、21年のキャリアの上に構築された自信から来るもの、とファンとしては誇りに思いたい。 ”うみ”は四季それぞれにおいて、異なった表情を僕らに見せてくれる。その表情を端的に素直に表現した絵日記の ような詩の世界。何の汚れもないこどもの視点から”うみ”を見ると、こういう歌詞になるんだなあ。 一方、壮大なギターソロにより、童謡の世界に引きずり込まれたリスナーを一瞬にしてTUBEの世界に引き戻すこの展開は、絶妙! 「みんなガンバレ」と同様、親子で一緒に歌える曲で、ライブに親子で来た人たちには、うってつけの親子のコミュニケーションの時間が得られ、夏の思い出を 享受できる。 「うみ」はTUBEの音楽の基本であるが、こういう捉え方は初めての試みであり、音楽を創造するアイデアは尽きないなあ、とあらためて感服する。これから も、世代に亘って聞ける曲を作ってね、TUBE。 親子の絆をTUBEの歌を通して築ける環境を用意してくれている気遣いに、心から感謝! まとめ 昨年は20年間の集大成ということで過去の曲のリバイバルような曲が多く、アルバム曲はすぐに覚えてしまったが、今年も同じ傾向と言えよう。 また、曲を聞いていると、いろんな世代に聞いてもらうことを強く意識しており、その人たちへの心配りを感じる。 すべての曲に対しての一貫性はなく、バラエティに富んだ曲目群となっており、様々な曲を串に刺して焼いて食べる「BBQ」のように味わってちょうだいね、 ということなのか。 今年の夏も、いろんな音楽をいただきました! もう夏も終わりであるが、野外ライブの後には、思わず”ごちそうさまでした!!”と言いたい。 来年も素敵なSummer Songを期待して、この夏を惜しみながらも見送る自分がここにいる。 ニュー・カレドニアの海に沈む夕日をながめ、涙が止まらない。 僕らの海、永遠(とわ)に続け〜。 以上 |