2005年12月4日、東京ドーム。年の瀬がせまったこの日、このライブを待ちに待ったファンがどんな想いで会場に詰めかけたのか。2枚組みのニュー・アルバム「キラーストリート」を引っさげての久々のサザンの全国ツアー。
 押しも押されぬ、27年のキャリアを積み重ねたべラテンのロックバンドが織りなすライブ。これを見た感想をどう表現したらよいのか。

 メンバーがステージに現われるや否や、大歓声。1曲目は何かと固唾を呑んでいたが、「Big Star Blues」。
 おっと、のっけからサザンのロックンロールスピリッツが炸裂! 81年の曲だから、当然今風にはアレンジされているものの、桑田氏のクレージーなシャウトは当時のまま。
 2曲目は、「My Foreplay Music」。これもまた、アルバム「ステレオ太陽族」から。イントロの0.5秒を聞いただけで、ファンならすぐにわかる。
 次は、「希望の轍」。ピアノのイントロでまたも大歓声。リリースは90年。20歳の夏を思い出す。遠く遠く離れ行く烏帽子ライン 舞い上がる蜃気楼。湘 南海岸を4駆で走り、フロントガラスから臨む海岸ラインの風景が左右に分かれていくような胸躍る瞬間。轍(わだち)は、過去の足跡と未来への軌跡。夏の日 はかげろう、と言いながらどんな未来が待っているのか。私と同じく20歳の頃にこれを聞いた同世代の人たちには感無量であろう。あの頃、君も僕も若かっ た!!
 初めの3曲が終わって、やっとMC。スタンド〜、アリーナ〜!!サザンで〜す。東京ドームに帰ってきました〜。

 MCの後、「神の島遥か国」。2005年の夏は、これとTUBEのアルバムを何回聞いたことであろうか。突然南の島へ瞬間移動したようなリラックスした雰囲気、独特のリズム。これがライブで生の音を聞くことの醍醐味。
 「セイシェル〜海の聖者〜」は、アルバム曲「8月の詩」と同様、太陽をテーマにしているが、地球の宝”海”が主たるテーマ。世 界は7つの海から成っているが、世界を構成する大陸はこれらの海でつながっており、15世紀の”大航海時代”を彷彿させるスケー ルの大きさ。
 「愛と死の輪舞」、「JUMP」もニューアルバムからであるが、R&Bやらでサザンにしては珍しいナンバー。
 ライブは切れ目のない流れがあるため、アルバムでは聞けないイントロがあるのがうれしい。CDで何回も何回も聞いた「愛と欲望の日々」も、こうしてライ ブバージョンを聞くと、マネキン(アルバムで聞いた音)が真っ赤な血潮を得て、生の人間として生き返ったように、躍動感がある。ライブ始まってからずっと ギターを握ったままの桑田氏のギターソロ。今回のライブは、ギターリストでもあるため、ハンドマイクはほとんどなかったが、この姿が私の一番好きな桑田氏 である。
 「別離」。イントロは、ベース1つの音から始まった!レコーディングで使用されたストリングスは、ここではシンセサイザーに置き換えられていた。

 待ってました!アルバムを代表するポップなナンバー「ごめんよ僕が馬鹿だった」。これも、ピアノの長いソロがイントロで、次に何が来るのか全く読めな い。ライブでは、みのもんたの「ファイナルアンサー?」のようなながーい前ふりに惑わされる。ファンはある意味で遊ばれているが、ファンとして本音を言う なら、もっともっと僕らをもて遊んでー!
 その後、桑田(V&G)、斉藤誠(G)、関口和之(B)、平松八千代(G&BV)の4人での絡み合い。ライブならではの光景で、ファンを魅了。
原さんがボーカルを取り、「リボンの騎士」。

 波のSEとともに、海の曲が4曲。すべて過去のアルバムから。
「YOU」、「海」、「栞のテーマ」、「Bye Bye My Love」。
どれもこれも懐かしい。基本的なアレンジは変わらないが、時がたって少々味付けされている。が、いいものは時が流れても風化するどころか、さらに、曲は 100年寝かしたワインのような風味(100年ものなんて飲んだことないが・・・)を搾り出し、ファンに贅沢な時間を提供する。いや、ファンの熱い想い が、これらの曲をうまく”醸造”していくのであろう。
 湘南、江ノ島、稲村ケ崎、七里ガ浜、海、波音・・・。これらのような爽やかなシーサイド・ポップスがあるかと思えば、180度変わって「匂艶 The Night Club」のような曲もある。このボーカリストの頭の中の回路は一体どうなっているのか??

 次から再び、ニューアルバムから、「からっぽのブルース」、「恋するレスポール」、「夢と魔法の国」。今回のニューアルバムは、ポップな面とR&Bのロックテイストな面の2つを堪能できる。
 アルバムタイトル曲「キラーストリート」、「限りなき永遠の愛」。

「ロックンロール・スーパーマン」
イントロのシンセの音で、早くも大歓声。さすが、ファンは反応が早い。
曲とともに、風船が雪のように降ってきた。ニューアルバムを代表するこの曲は、ライブ一番の盛り上がりであることは最もなところ。

 これが終わっても、80年代全盛の頃のナンバー、「ミス・ブランニューデイ」、「マチルダBaby」と続く。テクノが最先端の時代で、ローランド製のシンセサイザーのイントロは今聞いてもシブい。
「イエローマン〜星の王子様〜」。そして、ラストは「BOHBO No.5」。
「ボディスペシャル」から「マンピーの〜」の路線をくむ、ちょっと際どい曲だが、これがなくてはサザンではない。

 通常、アンコールでは、桑田氏は切れて切れてキレまくって、コントロール不能となって歌が疎かになるのをいつもちょっぴり不満に思っていたが、今回のラ イブはほとんどギターを握っていたせいもあるのか、ハンドマイクになっても糸が切れた凧のような状態にはなっていなかった。

 どんなMusicianでも、ライブでは必ず演奏する曲というのがある。TUBEで言えば、昨今は「涙を虹に」。「Hot Night」は野外では必須。
 デビューシングル「勝手にシンドバッド」は、当時のヒット曲「勝手にしやがれ」と「渚のシンドバッド」を組み合わせたふざけたタイトル。それに加え、ハ チャめちゃなリズムと日本語とはとても認識できない歌詞のコンビネーションで、狂気とアナーキーな世界。しかし、これを聞かずに帰れるかーっ、というファ ンが多いことをメンバーはよく理解しているのであろう。アンコールのトップに据える。27年前の曲とは言え、桑田氏の歌い方には当時とほとんど変わらない ねちっこさとキレがある。

 一転して、ステージの後ろのスクリーンにどどーっと津波が押し寄せ、”TSUNAMI”。
 風に戸惑う弱気な僕・・・。少年の視点からみた、せつない恋。自分の弱さは決してさらけだしたくないのが人の常であるが、あえて弱い部分をさらけだしたい、泣きたい時だってある。
 ひとは涙みせずに大人になれない。流した涙の粒の数だけ、ひとは成長するのか。こぼした涙がたまりたまって怒涛のように押し寄せ、それが"TSUNAMI"になるのか。
「Love Affair〜秘密のデート〜」。サビの歌詞には横浜の名所が次々に登場。”秘密のデート”だもの、夜明けまでの時間のみが二人 のドラマのような時間。二人だけのランデブー。ちょっとオトナの恋をしたい30代の男女は、ロマンティックな愛の谷間で溺れたい。
ラストは、「心を込めて花束を」。

 桑田氏は、ライブの間に観客席に向かって何度「ありがとうー」を叫んだだろう。ファンへの感謝の気持ちを体でもって表現し、常に謙虚な気持ちを忘れな い。ファンあっての自分たち、という意識を27年経っても持ち続けているのか。 TUBEの前田さんのしゃべりはどことなく飾り気があって、何か二枚舌の ようなところがある。”口八丁手八丁の前田でーす”、と(冗談だろうが)自分で言うぐらいだから。
 それに比べ、桑田氏は歯に着せぬしゃべりで”地”のまま。また、独特のダミ声と人柄が人気の秘密かもしれない。
また、桑田氏以外の誰が歌ってもこのひと独特のグルーブが表現できない曲が数多くある。「Hotel Pacific」、「愛の言霊」、「東京シャッフル」などなど。
ライブでは素直にファンへの感謝の気持ちを表し、歌う表情は千変万化そのもの。
 今宵のめくるめく”サザンワールド”に魅了され、ファンも大満足であっただろう。

サザンとTUBE。
双璧をなす、彼らが描写する”夏”。
この人たちの音楽を愛する筆者は、”夏バカ”と言われようが、”ミーハー”と言われようが、これから先もどこまでも、彼らについていきたい。

※おまけ
ある生徒からの質問。
生徒: 「隊長、サザンのライブは、TUBEとはどう違うのですか?」
隊長: 「んー、いい質問だね。」と言いつつ、これは難しい質問だなあーと頭をかく。ライブというよりも、エンターテイメントを見に行ったような夢心地。
隊長: 「表現が正しいかどうか定かではないが、サザンのライブは、「8時だよ、全員集合!」のような雰囲気だと言えば、わかってもらえるだろうかねー。」
生徒: 「???」


演奏曲目(リリース年)
1.Big Star Blues('81)
2.My Foreplay Music('81)
3.希望の轍('90)
4.神の島遥か島('05)
5.セイシェル〜海の聖者〜('05)
6.愛と死の輪舞('05)
7.JUMP('05)
8.愛と欲望の日々('04)
9.別離('05)
10.ごめんよ僕が馬鹿だった('05)
11.リボンの騎士('05)
12.YOU('90)
13.海('84)
14.栞のテーマ('81)
15.Bye Bye My Love('85)
16.からっぽのブルース('05)
17.恋するレスポール('05)
18.夢と魔法の国('05)
19.キラーストリート('05)
20.限りなき永遠の愛('05)
21.ロックンロール・スーパーマン('05)
22.ミス・ブランニューデイ('84)
23.マチルダBaby('83)
24.イエローマン〜星の王子様〜('99)
25.BOHBO No.5('05)
アンコール
26.勝手にシンドバッド('78)
27.TSUNAMI('00)
28.Love Affair〜秘密のデート〜('98)
29.心を込めて花束を('96)

以上



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