梅雨の季節に入った頃、EZから新たな宿題が出された。
EZです。

ついに梅雨に入ってしまいましたが、みなさん、お元気ですか?

 さて、昨年末に「冬休みの宿題」と題し、冬のお気に入りの曲を披露してもらいました。いよいよTUBEチームの季節 "夏" が近づきましたので、予告どおり、とびっきりの夏のアルバムを紹介してください。ただし、Excluding TUBE でお願いします。
 参考として、n@oのホームページにある、私の原稿「透き通る夏の午後」のように熱く語ってください。アルバムが思いつかない場合、シングルや1曲を集めたものでもかまいません。発売年・シングルではない場合は収録されているアルバム名もお忘れなく。
 ここで、みなさん個人々々の音楽の引き出し・奥行きをひけらかしてください。

納期は7月末とします。
よろしく。

以上

=== EZ 's Gift (暑中お見舞い)===

夏、海、AOR

夏と言えば、サンサンと降り注ぐ太陽の光が連想されるが、最近のうだるような不快指数120%の蒸し暑い夏には、まったくもってしてウンザリである。
年を重ねるにつれ、木陰で心地よいクールサマーを過ごしたいと思うようになってきた。そんな時間を過ごすのにも、音楽は欠かせない。夏に涼しいひとときを過ごすのにぴったりなのが、AOR。Adult Oriented Rockの頭文字であるが、ボサノバ・ウエストコーストなどをも含めた大人の音楽を意味する。ゆったりしたスローテンポからミディアムスローまで。時間が止まるように・・・、♪Stop The Season In The Sun〜。
もともと、夏ものの音楽が好きであったが、ここ十数年を振り返ってきて、本当に自分が好きなのは、こうゆうジャンルの音楽であることがはっきりわかってきた。
AORは洋楽が主流であるが、日本のMusicianでこのジャンルを手がける人は数多い。
十数年の間、夏限定のオリジナルカセット「Sea Breeze」を作ってきたが、これに収められているメンバーを見ると、ほとんど固定されている。今回、このメンバー紹介をしたい。


1.角松敏生

和製AORの第一人者。
80年のデビュー当時は、海・リゾートもの一辺倒で押しまくっていた。当時は、特別な歌唱力があったとは言いがたいが、曲・アレンジを自ら手がけており、この頃から既にプロデューサー的な才能が開花し始めていたと言える。
「海もの」が多い中、なぜか「空港もの」も多く、旅情を掻き立てられてしまう。しかも、それは遥か南半球に位置する"リゾート"への出発を飾るにふさわしい。
この"リゾート"ものが多かった80年代に、杏里のアルバムのプロデュース作品が多い。杏里のアルバムを聞いて、彼の名を知ったと言えるだろう。リゾート及びリゾートと都会をつなぐ夜の高速を題材にすれば、他にかなうひとはいないであろう。

今年の夏、80年代に戻るが如く、久しぶりに”夏もの”のアルバムを発表した。
'87リリースのサマー・インストアルバム「Sea is a Lady」を思い出させるかのようなマリンブルーの海をバックにしたジャケット。大人の夏を演出してくれる。
ライブチケットも手に入れたので、あの80年代の"角松"が見られるのかと、今から楽しみだ。しかし、出来れば、角松プロデュースの杏里のアルバムが聞ければ最高なのであるが。



2.杏里

今年でデビュー25年。今夏、それを記念して、過去のヒット曲を新しいアレンジと歌入れで再録したベストが発売された。
またまた80年代に戻ってしまうが、ウエストコースト風 爽やかSea Breezeを運ぶ、アメリカンポップが彼女の十八番。80年後期からブラックテイストの効いたダンスミュージックも融合させてきたが、あえて80年代の角松サウンドが彼女の音楽の原点であると言いたい。
「夏のLady」にふさわしく、アルバムジャケットもTUBEに負けじと、コバルトブルーの海で飾られ、リゾートへの誘惑には言葉を失う。
40を超えても、いっこうに老ける様子はなく、かっこいいお姉様をキープできるコツは何なのか?
シングルでは、意外と夏ものは少ない。やはり、アルバムで聞かせるひとである。
最大のMy Favorite夏ソングは、やはり '87シングルの「Surf & Tears」。さびの最後の部分、「夏を忘れない大人でいたい・・・」。何と素敵なフレーズなのであろうか。永遠に朽ちることのない"夏"への想い。それを絵に描いたような"夏"の1シーンを思わせる、いや、夏でなくても、"あの夏をもう一度" と昔を懐かしむ時間も時には必要ではないだろうか。
AOR大好き人間の私にとって、「シンガー杏里、アレンジャー角松敏生」のコンビは、最高の夏からの贈り物なのである。



3.山下達郎

80年、一躍「Ride On Time」のヒットで脚光を浴び、夏・海 路線の第一人者となってしまったが、本人曰く、夏が嫌いだと。
車のCMがやたら多い。('85「風の回廊」、'87「僕の中の少年」、'88「マーマレイド・グッドバイ」、'91「ターナーの機関車」、'93「ジャングル・スイング」、'98「夏のコラージュ」など)。日産・スカイライン、ホンダ・インテグラ、スズキ・エスクードなど。なぜトヨタは達郎を使わない?
ミドルテンポの心地よいリズムと透明感あるボーカルがクルージングにぴったりなのである。個人的には、最高のクルージング音楽だと思っている。
ビーチボーイズをこよなく愛し、基本的にそこに夏への想いが感じられる。それにまつわる洋楽カバーではファルセットも最大限に活用し、美しい多重コーラスのウエストコースト風AORを聞かせてくれるのも魅力のひとつ。
微に入り細にこだわった音作りで、最高のクオリティを練りこんだAORを届けてくれる。
'82「Loveland Island」、'83「高気圧ガール」、'84「Theme from Big Wave」、'87「踊ろよフィッシュ」、懐かしい面々であるが、どれもこれも頑なに夏を渇望する人のために(10年ほど前の筆者のように)作られものである。



4.稲垣潤一

もう一人の和製AORはこの人である。人呼んで、J.I.(イニシャル)。
高い音域から繰り出される音楽は、太陽の真下で、というより、木陰の夏・・・。
そう、避暑地で聞くAORである。
JI避暑ソング御三家と言えば、'83「夏のクラクション」、'87「思い出のビーチクラブ」、'88「サザンクロス」であろう。
こういった夏ものの曲1つ1つには、リゾートでの男女の出会い・別れが必ずあり、気がつくと、作詞は秋元康氏だったりする。(かの杉山清貴&オメガのヒット曲の大半の作詞も、秋元氏)短編ストーリーものはさすがに強い。
また、夏に限らず、恋人達が、夕日や夜景をバックに共有する"クリスタルな時間"というものを、盛り上げるにはJIのAORを使いたい(もう、使えない・・・。残念っ。)




5.杉山清貴

同じ夏ものでも、爽やか系夏ソングと言えば、この人。
ハワイ在住ということもあって、夏をよく知っている。
アロハシャツにサングラスという、おなじみのスタイルで、緊張感なく、ゆったりとリラックスした状態で夏を過ごすにはちょうどよい音楽を提供してくれる。
'87シングル「僕の腕の中で」・「水の中のAnswer」、'88シングル「渚のすべて」で、透明な海・青い空・白い砂浜の夏のアンサンブルを確立し、それ以来は地道に"夏男"の異名をキープし続けている。
'93発表のアルバム「Paradise」は、サマーソングの集大成であり、リゾートには必携のアイテムとなっている。




6.安全地帯

あまり夏とは関係ないが、AORの部類に入れてもいいだろう。
80年代は、妖艶な雰囲気のシングルの数々のヒットを出し、人気を不動なものとした。その後、アコーステイック志向となり、最近久しぶりに出したアルバムでは80年代のような華麗でインパクトのある曲がなかったのが残念である。
80年代では、井上陽水とのデュエット「夏の終わりのハーモニー」は最高傑作であろう。夏の野外ライブで聞いたら、最高だろうな。
澄みきった夏の夜空に漂う、夏の名残。陽水の「少年時代」も好きだが、夏の終わりとはどうしてこんなにもドラマチックなのか。




7.サザンオールスターズ

"夏もの"のこころをよく知っている。
ラテン、サンバ、GS、ロック、ビーチボーイズものと何でもありだが、あえてAORに限定するとしても、結構ある。
軽快なテンポで '90「You」、夕日をバックに '89「さよならBaby」、しっとりした雨模様のせつない夏なら '92「君だけに夢をもう一度」、静かな海をバックに '97「Blue Heaven」、モータウンなら '96「太陽は罪な奴」、桑田ソロで '88「いつかどこかで」、パーカッションと透明度が格別の '84「海」 などなど・・・。
80年代は、夏バンドの特等席であったが、90年代に入ってTUBEに夏の指定席を奪われた感がある。しかし、デビューから25年たった今なお、夏の代名詞のベスト3には入っているのには、脱帽である。




8.TUBE

今さら言うまでもないが、AORと限定するとかなり数が限られてしまう。
野外ライブで初めて、派手なパフォーマンスと躍動感を売りにしていることを知った。初期のオダテツ系はやはり、AORが多かったが。
ノリノリもいいが、ゆったりしたAOR空間も非常によろしい。
AOR曲目群は、
'87「Summer Dream」、'88 「Dance In the Light」、'89「Paradise」、'90「August Moon」・「Forever Young」、'91「湘南My Love」、'92「Surfin' In the Snow」、'94「Tシャツとブルージーンズと」・「My Summer Girl」、'95「海よりも深く、空よりも大きく」・「Kona Wind に抱かれて」、'97「Purity」、'99「楽園」、'00「Lani Kai」、'02「紙ひこーき」などなど。
アルバムでは、'90「NATSU」、'00「Lani Kai」などが最もAOR的な作品であろうか。



ここで紹介した人たち以外でAORに含むなら、
大滝詠一、スターダスト・レビュー、ケミストリー、Class、村田和人、竹内まりや、広瀬香美 などではないだろうか。


まとめ
ここに書き出した人たちは、TUBEを除けば、80年代は第一線で活躍してきた人たちばかりである。(この中で、コンサートに行ったことがないのは、杏里と安全地帯だけか。)
見事に10年前、夏の超定番"TUBE"にはまってしまったが、私の中では"TUBE"は新米なのである。
今では、ほとんど40代で、昔のように派手にプロモーションを行っているわけではないが、いまだに、地道に、私の音楽の引き出しに1滴の潤いをもたらしてくれている。今年のTUBEのアルバムではないが、これぞ"オアシス"である。
日常の砂漠の中でやっと見つけた"オアシス"。これを辿っていくことにより、日常の忙殺される生活をつなぎあわせていくことができるというものである。

これまで本当に貪欲に音楽を聞いていたのは、17歳から結婚するまでの27歳であろう。17歳(1987)から22、23歳(1992,3)までは、世に言う"バブル"の時代であった。"バブル"で株や証券で儲けたわけではないが、私は自分の人生の中では、最大の音楽バブルの時期であり、音楽にこれまでの人生の中で最もお金をつぎ込んだ。ここで得たものはイコール、人生の宝物であった。札束の中にまみれることはなかったが、純粋に音楽、特にAORに没頭できた想い出の断片の中にまみれることで豊かな時代を過ごしていたな、と思う。
最近、音楽で感動することが非常に少なくなった。感性が鈍くなったと言わざるを得ない。
しかし、AOR、特に"夏もの"AORは、年を重ねても自分の中で永遠に活き続けることであろう。
さらに、ここで紹介させてもらった人たちが、これからも、行きつけのレストランでいつも注文するメニューのような、夏の定番"AOR音楽"を作り続けていってくれることを願うのみである。

<EZ>