氏の名前と実力を知ったのは、杏里の第1ブレーク(83年)の頃のアルバムのプロデュース作品がきっかけ。
当時(今でも)“角松三部作”と言われた3枚の傑作アルバム。
自分が一番好きな音楽はこれだ! と高校生の自分に気づかせてくれた。その趣向は今も変わっていない。(浮気など絶対にない。)

“杏里のアルバムを聞いて角松ファンになった”
これは非常によく聞く話で「へえ〜あなたもですか」と共感。
強烈な夏のインパクトのある神がかった87年のインストアルバムには一目惚れ(一聴惚れ?)したため、興味をそそられたのは歌入りのアルバム。
杏里のアルバムで抜群な曲のセンスに好印象を持ち期待感を抱き氏の80年代初期から中頃のアルバムを何枚か聞いてみた。曲はいいがオケにのるボーカルのインパクトが薄い。
“角松さん、曲はいいけど歌はね。曲だけ作っとけばいいのに。”
何か三谷幸喜氏に、“三谷さん銀幕まで出てこなくていいから。脚本とメガホンさばきで、我々を魅了してほしい。”と言ってるみたい(笑)。

当然、デビューアルバムなど眼中になかった。92年の合宿の舞台は“日本のエーゲ海”、せっかくだから何かリゾート感あるアルバムを持っていきたい、と梅田イングスのレコード店に立ち寄り、たまたま棚で見つけたのがこのアルバム。
写真でリゾート感を強調している、まあこれでいいか。故に、“ジャケ買い”なのである。
たまたまのジャケ買いをきっかけに、その後角松音楽に見事にハマっていく自分の姿には笑えるが、“一期一会”とはこういうことを言うのだろう。

歌は(その後の伸びのある声と比べて)若々しい。曲とアレンジは一流。
ボーカルに押されて埋もれがちな楽器の音が鮮明に聞こえる。ギター、特にベースの音がハイライトされたミックスが映える。よって、フュージョン的アルバムという一面もある。
1曲目“Dancing shower”は、80年代の洋楽ミディアムテンポのデイスコ風サウンドをニューミュージック仕立てにしたら、“こんなん出ましたけど”的ではあるが、なかなかいんじゃん。
2曲目“Elena”は、女の子に一目惚れした体験がある人ならわかるほろ苦く甘酸っぱい夏の記憶をAOR仕立てにした粋なナンバー。ベースとギターソロが圧巻。
B面の1曲目でデビューシングルの“YOKOHAMA Twilight Time”は、イントロのホーンセクションによる“ジャージャン”という重厚感、ベース音が曲の至る所で効いている。ナンパな歌詞にも苦笑。
盛り上がったデートだがここからが正念場!たそがれ時のロマンチックさに乗じてこの娘に告っちゃおう!
そしてこのアルバムにガッツーンと頭を打ち砕かれたのは、やはりアルバムラストを飾るバラード2曲。
組曲のように波のSEで2曲がつながる構成だが、これでとどめを刺された。

アップテンポで始まって夏を盛り上げ、最後は夏の余韻に浸って終わる。
夏のアルバムの王道を行くストーリ性にも感銘を受けたが、アップテンポ・バラードともにギターソロが超カッコいい曲が多かったのもマイスコアが高くなった要因である。
(しかし氏の演奏ではない。この時代の一流のギタリスト達の技が光る。)

オリジナルとリメイクを聴き比べたら、当時の若かりし頃の記憶が後押しするのか、やはりオリジナルに軍配が上がってしまう。
たぶんその後のサークルの2年間がなかったら、このアルバムはこんなにお気に入りにはならなかったと思う。
だから不思議な巡り合わせなのである。
今もこのアルバムで20数年前の記憶に想いを馳せる自分はおかしい奴なのかもしれないが、こんな1枚のアルバムに出会えたことに感謝。

以上






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