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92年の3月だった、角松敏生氏のデビューアルバムを聞いて「これぞリゾートAOR!」と感銘を受けたのは。 “ジャケ買い”と言ってもいいかもしれない。 夕闇に染まる海岸沿いのリゾートホテルの2Fのテラスに佇む氏をフューチャーしたジャケット。氏のリラックスした姿、海と夕闇の空が一体化しこれに白い建物がリゾート感を一層引き立てたそんな1枚の写真である。 これに収録されたナンバーはこのリゾート感あふれる画像のイメージに決して引けをとらない。 ボーカルはその後のしっかりしたスタイルを知っている故に、まだまだ粗削りで発展途上であることは否めない。だが、発掘された原石はこれから磨かれるのであって、どんな一流のアイドルだってデビュー当時はそんなものだ。 だからこそ自分にはこの点に魅せられ、このアルバムが好きな理由はそこにあるのだろう。 奇しくもこれを聞いたのが、“日本のエーゲ海”と言われる岡山県の牛窓。 瀬戸内海を見下ろす断崖絶壁のような高台に立った真っ白なペンションの海を臨んだ一室の窓を全開にしてこのアルバムを流し、至福の時を過ごす。 演奏はその当時(81年)の一流スタジオ・ミュージシアンが共演しており、素晴らしいの一言。もちろんコーラスも超一流。 これだけの著名なバックミュージシアンを集めるとは、アルバム製作費のうちほとんどが彼らのギャラだったのではないだろうか?当時いかに氏が期待されていたか、が伺える。 今回、このアルバムのリメイクが作られた。一流ミュージシアンによる演奏をそのまま使用してそれらをミックスし、ボーカルのみ今の氏のものと入れ替える。 ライナーノーツを読んでいると想像以上に当時の歌にコンプレックスを感じていたかがよくわかる。“山下達郎氏はデビュー当時からボーカリストのスタイルが確立されていたが、(自分は素人に毛が生えた程度で)ボーカリストとしての筋肉ができていない”と。そこまで自虐しなくても。個人的にはこの若々しさがみなぎるこのアルバムを大変気に入っているのであるが。 このアルバムのリマスターだけでも大満足のところが、オリジナルのオケを利用して歌い直しリメイクを作ってくれるとは。歌にコンプレックスを持っていたものの、アルバム自体にはかなり思い入れがあったようだ。 “リメイク盤”はたいていの場合、オリジナルの良さをかき消してしまい完成したものはファンの期待を裏切る失敗作、というのが多い。 愛聴アルバム故、ドラムやベースのパターン、ギターのリフなどがほとんど頭に入っている。しかし、リメイクとは言えこれを覆されてはたまったものではない。 しかし本作はリミックスと言えども99%オリジナルのオケを使用しているので、現在の氏がコンサートで歌っているように聞こえ、この上ない満足感にひたる。 氏は発売当時のことをも思い出して歌っていたであろうが、これを聞く自分も92年当時のサークル黎明期の記憶が蘇る。 続く ![]() |
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