80年代半ば。それは最も“山下達郎らしい”アルバムがリリースされていた時代。
達郎自身の荘厳な美しい多重コーラスをバックに8ビートのウエストコースト風AORのテイストが散りばめられた曲群。 自身が敬愛するアメリカンミュージックを氏なりの技と工夫を凝らしたオリジナリティーで昇華させアレンジした音作り、それをファンに届ける。

これまで数回リマスター盤が発売されたが、リリース30年を記念して 今年の夏、アルバム「BIG WAVE」が最新デジタルリマスターで蘇った。個人的に、これまでに前回のリマスター盤を含めこのアルバムを2回買っているが、今回も買ってしまった。
「最新のいい音で聞きたい」というファンの想いを利用した商業主義とも聞こえるが、その希望を時代のテクノロジーに合わせて具現化してくれる氏のサービス精神には感謝する。

アルバム「BIG WAVE」は、元々アメリカのサーフィンドキュメンタリー映画のサントラ盤として作られたものであるが、その当初の趣旨を超えオリジナルアルバムと言ってもよいほどの最高の出来栄えである。
A面:達郎オリジナル、B面:ビーチボーイズのカバー という構成。
これらは、氏の十八番 “自身での楽器演奏の多重録音+多重コーラス”という作りが基本で、いわゆる“これが達郎サウンド”の真骨頂をアルバムの至るところで味わえる。


この当時最もポピュラーだった歌謡曲とは一線を画す、この独特の世界を創造できるのは類稀なる才能と実力を持ったこの人しかいない。80年代初期からカーステ搭載の車が一般的となり、湘南や葉山の夏の海岸ではカーステからは“達郎かユーミンか”と言われるぐらい、アウトドアー音楽の頂点を極めていた。
この“夏=海=達郎”の方程式(本人は極度に嫌っているが)が市民権を得た世間一般のイメージの中で、このテイストが味わえたのは82年のアルバム「For You」を先頭に、83年の「Melodies」、84年の本アルバムと続くが、残念ながらこれが最後となってしまった。この達郎音楽をまだ知らなかった自分さえも、ラジオのDJ(渋谷陽一だったような)が「夏と言えば山下さんですね」という言葉を頻繁に聞く時代であった。
全盛期のサザンとTUBEがタッグを組んでも、こんなcoolな“夏アルバム”を作ることはできなかっただろう。

TUBE(波のチューブ)を自由自在に操って波にノリまくり、波打ち際を派手なサーフボードを担いで歩く自分に女の子の熱い視線を感じる“キムタク”になり切った自分を想像する。
40代、50代のおっさんはこんな輝かしい妄想の世界を描きながら、毎日頑張っている。アルバムの世界が美しく描写する“永遠の夏”を追い求めて。。。

以上




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