2012年もあとわずか。
37年のキャリアをまとめた山下達郎氏のオールタイムベストが9月に発売された。ほとんどのアルバムを持ち、そしてそのアルバムの隅から隅までを聴いている自分としては、“今更”という感があったが、リマスターによる音質向上の評価が高く、1年の締めくくりと自分へのクリスマス・プレゼントという名目で12月に購入した。ちなみに、達郎歴四半世紀のわたくし。

本ベストでは、75年のシュガーベイブでのデビュー曲から最新曲までを一気に駆け抜けるが、時代の色とかトレンドに全く左右されることなく、エバーグリーンな輝きを如何なく発揮してくれる曲群の威力に改めて脱帽。特に、ハイウエイをスマートに走るスポーティな80年代の車のCMのバックに流れていた曲には特に思い入れが深く、今でも何度も聞くが飽きが来ることなない。
自動車の運転席、つまりフロントガラスに映る眼の前の景色が高速で左右に真っ二つに流れていく空間。この快適なスペースには、あのカッコいい達郎サウンドを欠くことはできない。
中でも、“クリスマスイブ”、“風の回廊(コリドー)”、“SPARKLE”は、これまでに何百回と聞いた。
結構、達郎氏の詩もロマンチストだ。
“風の回廊”は、女性の姿・風貌ははっきりした曲中での描写はないが、“遥か遠い日の後ろ姿 なんて優しく蘇る”というさびの一節は、一度は恋をしたことのある男性なら経験したであろう目の前から忽然と去ってしまった過去の女性への想いを馳せる。こんな男心をくすぶってくれる。




初期の初々しいボーカルから、“Ride On Time”でのヒットをきっかけに華々しく最高の波に乗る80年代。90年代より内省的な詩が目立ち、最近ではバラード中心のアダルト路線の音楽に徹する。
この華麗なる長い歴史の変遷を目の当たりにすることができる、そんな“ベストテイク”である。
CD媒体の終焉を予期した氏の、CDパッケージとしての形で出す(ことになってしまうのか?)最後のベスト。

アメリカンミュージックに造詣が深く、決して日本の歌謡曲などからは創出され得ない独特の音楽感、これを描写する極上の音楽。
達郎をして達郎を超えることができる人物が、今後現れることなどあり得ないだろう。




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