広瀬香美は、不思議だ。

「広瀬香美 Best Love Winter」をゲレンデで聞いていたが、なぜか「あの冬」を、サークルの忘年会とか、サークルのみんなでスキーに行ったときのゲレンデでの想い出が瞼に浮かんでくる。この曲を聞けば、93年の冬を思い出す、とまで聞き込んでいないが、初めて「TUBEst」を聞いたときのような感触である。

 やはり、毎年毎年冬になれば、シングル、アルバムを出し、3月後半には姿を消してしまう潔さには脱帽である。そして、夏にせっせと冬支度をする。どっかのバンドと全く同じ動きをしており、季節というものに対しての強いこだわりを感じる。 相当高いキーにパワフルな歌唱力、デビューシングルから曲の至るところで使われている一人多重コーラス。コーラスに凝っているところは、私の敬愛する山下達郎氏のスタイルと共通しているところがあり、非常に親近感を覚える。

 曲の出し方も、「やっとあたしの季節が来たわよ!」と言わんばかりに、11月末にアップテンポのシングル、1月にせつないバラードシングルをリリースし、冬という1つの季節についても、メリハリをつけているところも、どっかの夏バンドと同じではないか。曲で扱われるテーマは、恋やシンデレラロマンスにあこがれる女心であったり、恋人への一途な気持ち・届かない想いであったり、永遠の愛を誓うようなものもあったり。

 最近、ときめくような機会もなく、若かりし遠い日々に味わった想いを呼び起こしてくれ、心が痛むこともしばしば。でも、共通しているのは、白樺の木々、パウダースノーが積もった針葉樹、樹氷(蔵王特有の景色)、など自然が織りなす冬の白銀の世界を、さらにきらびやかにする要素を多分に持っているという点である。アルペンでスキーの準備のために買い物をしていたときに、何気なく耳にした曲でさえも、あの冬のことを思い出す。音楽というもの、つくづく不思議な力を持っているな、と思う。

 そう言えば、「広瀬香美」も悪くない、と思い出したのは、98年のOB会秋合宿、恵那に行ったとき、ある女の子(もう既に誰かの嫁さん)が「ピアニシモ」を歌ったときからだったか。(男の子の歌詞で歌われており、どうしてこんなにせつないのだろう?)カラオケの画面には、一面の銀世界が描かれ、それと曲が非常にマッチしていたことが印象的であった。すかさず、その後、仲良し2人組(こちらのおふたりも既に主婦)が「Speed」の「White Love」を歌っており、いよいよ冬到来という感じであった。

 まあ、そんなことはどうでもいいが、世間の人は冬と言えば、どんな曲を聞くのか? 私の場合、山下達郎「クリスマスイヴ」、竹内まりや「カムフラージュ」、浜田省吾「ひとりぼっちのクリスマスイヴ」、桑田佳祐「白い恋人達」、稲垣潤一「メリークリスマスが言えない」、安全地帯「あの頃へ」、今井美樹「Blue Moon Blue」、スターダストレビュー「夢伝説」、前田亘輝「そばにいるよ」などか。ありきたりの曲ばかりだが、毎年冬になると、カセットを出してきて、冬にひたるのである。

 さて、冬という季節では、スキーが最もメジャーで、かつ大自然に接することができ、スピード感を体験できる。私個人としては、日常では体験できないスピード感や開放感を味わえるのは、スキーとスキューバーダイビングであると自負している(これを超えるのは、スカイダイビングかパラグライダー?)ので、ここぞとばかりにそれにもっともマッチした音楽を持って行き、景色と音楽を一体化させることに快感を覚えるのである。 音楽は、この景色の中で初めて、我々の感動と興奮により一層強い刺激を与え、いつまでも聞くものの心の中で生き続けるのである。 このストレスの多い世の中を生きていくには、このようなひとときを過ごすことも必要ではないか、と思う今日この頃である。 Salt lake city でのオリンピックも、もうそこまで来ている。今年は、いつものように「夏」が恋しいようと、嘆いている場合ではなく、「冬」も満喫したいと思わせるのは、「東北」という日本の四季を目の当たりにできる素晴らしい環境にいるからか?

 冬の楽しみ方にもいろいろある。ゲレンデで吹雪の中を急斜面を転げ落ちながらスキーを楽しんだり、透き通る青空の下で爽快に真っ白な雪からの反射光を浴びながらボードを楽しんだり、暖かい暖炉の前でホットココアを心ゆくまで楽しんだり・・・。 こんなに、「夏」と「冬」という対照的な季節を、1年の間に味わえるみちのく東北人は、本当に恵まれていると言える。日本のわびさびを本当に理解しているのは、1億2千万人の日本人の中でも、彼らだけであろう。

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